悪い箇所を片っ端から治す、これに私は反対しない。
そして、私もそうする。
ただし術者はそれを行う必然性を持たねばならない。
その状態を引き起こした原因をいうものを探り、
そこに対しアプローチすることである。
しかも、それら全てに対して、その時にそれを行う必要性があるのか、
体に確認するのである。
あまりに多くの、必然性のない、不必要な刺激は、
かえって弱くなっている患者さんの体力、回復力を奪い、
回復を遅くしてしまうのである。
術者は患者さんの言葉、つまり訴えによって治療すべきではない。
自分で体から読み取り、判断すべきである。
痛みや症状を、単にその場で消すことは本当に、
その患者さんにとっての必然性があったのか?
かえってほかの原因を見過ごすことにつながってないか?
ということである。
そして患者さんは、その先生を信頼したのなら、
先生がもう大丈夫ですというまでしっかりと治療に通うべきである。
何の専門知識も持たぬのに、症状がよくなったからと言って、
勝手に来なくなってしまうのはよくない。
私は時としてこういう質問をする。
初診時に、大変症状がつらい方に、
「今までどこかに治療に行かれましたか?」
そして、「鍼、カイロ、整体、マッサージ等」を受けたと
答えてくれた人に、何回通われましたかと聞く。
2?3回ですと。
何かでそこの治療院に行き始めたのだと思う。
時として紹介されて。
それが2?3回治療を受けて、効果ないと判断され、
来なくなってしまったとしたら、
もしかして一生懸命治療にあたっていた先生の気持ちを
考えると、私も何とも言えない気持ちになる。
技術力が劣っていても、治してあげたいという
術者の気持ちは大切である。
時として、それが技術ある先生より、
その患者さんを治してしまうこともあるということだ。
体調を崩し、壊したり、病気になるのは、
それを生じる情報をその人が受け取ったためであり、
あらゆる治療行為により、それらの情報を消したり、取り去ったり、
変えたりし、体から良くない情報が消えることで
体調が改善するというのが、私の最新の考え方であり、
これが真実なのであろうと思っている。
だから時として、その先生の強い思いという情報を
受け取っていくことで、体が健康を取り戻していくこともある。
しかし、できたらそういう先生方も精進して、
技術レベルを上げてほしいと思うのだが。
だから少しずつでも体がよくなっているのであれば、
患者さんは途中で治療をやめてしまうということは
決してしないでほしい。
その先生を信頼してみることである。