ワールドセラピーシステム

姿勢と症状

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今度の「治療初歩」というゼミでも詳しくやるつもりですが、
人体と言うのは無意識に、弱い部分をかばうという働きをしている。

例えば、右膝が痛いという人がいたとする。

その人の後姿を見て、身体を左に傾けているなら、
右膝の調子が悪いのが原因で、無意識に
右膝に負担をかけまいとしてかばう体勢である。

しかし、これがもし、痛みがある右に傾いていたとしたら、
事情はもう少し複雑である。可能性はもっと増えてくる。

一つは、本当に問題を持っているのは左脚側にあり、
本人は分からなくても体はそれを理解しているので、
一見悪く見える右膝に体重をかけてしまっている。

だからこの場合は、もっと問題の大きい左側を治しておかねば
右膝をいくら治しても、結局弱い左をかばい続けるため、
右膝への負担は解消されず、右膝を治すことはできません。

他の理由としては、あまりに右膝が悪すぎて、
もう体重を受け止めきれず、負けてしまっているという状態。

ただし、これだけなら、少なくとも頭や肩は左に傾けて、
少しでも負担をかけまいとする。

つまりこれを代償作用と言うのだが、もし全体として
右に傾いていたなら、体のあちこちに右膝をかばうためや、
逆に身体の問題を右膝がかばう場合もあるが、

色々複数のトラブルにより、身体は疲れ切り、
代償(みがわり)が出来なくなっている。

だから、身体の歪みは、その身体の言葉を表わしているので、
我々はそれらのボディランゲージの読解をせねばならない。

前傾か?ねじれがあるか?どうねじれているか?
傾き方は?膝は両方まっすぐか否か?

そして聞くべきは、患者さんの靴底が正しいか?
ショルダーバッグか、否か?ソファーに座るか?
パソコンなどは、まっすぐに見ているか否か?
枕の高さは?脚は組まないようにしているか?
寝るときに本を読んだり、テレビを見ているか?などなど。

日常で行っている、知らないで身についている歪みの元を
正さねば、いくら治療者側の努力をしても、それは効をなさず、
元の木阿弥ともなりかねないので、よく聞くことが大事である。

「小さいことの積み重ね」は、大きな悪さを作るが、
「小さい良いことの積み重ね」も健康には大事である。

大きなこと、例えばスポーツクラブで運動するなどは大事であるが、
小さい悪いことを積み重ねていては、良くないのは明白である。

その人にとって、何が悪いのが探して知らせるのも
我々の仕事である。

そして、どうしてそう考えるのか、
どうしてそれらが悪いのか知ってもらうことも大切である。

基本的な理屈を理解し、
患者さん自身で、何をしたら良くないのかを判断して
直してもらうことが一番重要である。

これも、「患者教育」ということになる、我々の仕事である。